(国)森林総合研究所は3月16日、過去50年間に世界1,600地点以上で観測されたデータに最新データを加えたモデルを構築、陸域土壌から放出される二酸化炭素(CO2)の全球マップを作成したと発表した。ドイツのマックスプランク研究所との共同研究による。
陸域の土壌から放出されるCO2は、化石燃料による放出量の10倍以上と考えられてきた。しかし、地球全体の陸域からの放出を推定をした研究は限られていることや、近年の観測データに基づいた推定は少なく、放出量はよく分かっていなかった。そこで、研究グループは、過去50年間の世界各地1,600 カ所を超す場所の観測データを解析し、最新のデータを用いてモデルを構築して全球での分布を推定した。
モデルを用いて推定したところ、全球での総放出量は910億t(1965年~2012年の平均値)となった。この値は、2010年にアメリカの研究所が学術誌「ネイチャー」に報告した結果より、6%程度少ないとしている。また、気候変動による気温上昇の影響で放出量が増加傾向にあることが示唆されたとしている。
左は、この研究で作成した「土壌から放出される二酸化炭素の全球マップ」。右は、緯度方向の単位面積あたりの二酸化炭素放出量の分布(提供:(国)森林総合研究所)