筑波大学の谷中昭典教授(医学医療系)の研究グループは11月29日、毎日バナナ2本を定期的に食べると花粉症の自覚症状の改善がみられると発表した。花粉症に悩む52人を対象に実施した臨床試験結果をまとめたもので、特に35歳以下の男性では明らかな自覚症状の改善が見られたという。
■52人をグループ分けして調査
花粉症は日本人の4人に1人が悩まされるアレルギー。スギ花粉などによって本来自分の身を守るために働く免疫が過剰に反応、鼻づまりや目のかゆみ、くしゃみなどの症状が現れる。
研究グループは、バナナにポリフェノールなどの抗酸化物質や免疫反応調節作用を持つオイゲノールなどの香料が豊富に含まれていることに注目。花粉症のモデルマウスを使った実験で、バナナ摂取がアレルギー反応の抑制に効果があることを確認した。そこで、人間でも同様の効果があることが示唆されたとして、スギ花粉症の患者を対象にバナナによる症状改善効果を調べた。
まず52人の患者を毎日約2本のバナナを食べるグループと、試験期間中にバナナを禁止したグループの2班に分け、自覚症状に違いが出るかを調べた。試験期間は花粉が飛散する2週間前の今年1月から8週間とし、花粉飛散前(1月下旬)と飛散開始直後(2月下旬)、大量飛散時期(3月下旬)の3回にわたって問診と血液検査をした。
その結果、バナナを食べたグループは食べなかったグループに比べ、くしゃみの悪化が抑制された。鼻アレルギーの自覚症状の重症度やアレルギー反応の指標になる血中好酸球の数、抗体IgEの値には有意な差は見られなかったものの、35歳以下の男性でIgE値の低い患者群は、バナナを食べた方が、くしゃみや鼻づまりなどのアレルギー症状や日常生活の質(睡眠、身体機能、精神生活など)を評価するQOLスコアが明らかに改善していた。
研究グループは、「バナナの定期摂取でスギ花粉症患者の自覚症状やQOLの悪化を抑制できることがわかった」として、今後メカニズムの解明と、より効果的なバナナ摂取法などを検討する。