筑波大学は6月11日、電位を加えると金属色を示す新しい導電性ポリマーを開発したと発表した。電位に応じて銅色-銀色-金色と変化する。金属本来の色を呈する初のディスプレーの開発が期待できるという。この金属反射は結晶と液晶の2層構造による「干渉」によるもので、カナブンの甲羅の構造に類似しているという。
■新現象「金属反射エレクトロクロミズム」
同大学数理物質系の後藤博正准教授は、結晶中でのポリマー合成と、温度変化によって相転移した液相中でのポリマー合成が連続的に進行し、結晶と液晶の2層構造を形成する「相転移連続電解重合法」という合成法を開発、この技術を用い、結晶性の秩序を持つポリマー層の上に、らせん構造から成る液晶の秩序を持つ層が重なった2層型ポリマーフィルムを作製した。
このポリマーは0V~1.2Vの低電位を加えると銅~銀~金の金属反射色を示す。こうした現象はこれまで世界的に報告例がなく、後藤准教授は「金属反射エレクトロクロミズム現象」と命名した。
現在の液晶パネルやEL素子、プラズマディスプレーは、唯一金属色だけは本来の色を表示できない。新技術によれば金属色表示ディスプレーの実現が期待でき、本物の金属の質感を味わえそうだという。