「はやぶさ2」便り8 ~「HAYABUSA2 REBORN」公開迫る~
(2020年3月03日)
2009年公開の「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」ではナレーター篠田三郎さんの「はやぶさ」に語り掛けるような語り口や、地球帰還時の母船がまるでカプセルをいとおしむように分離、その後大気へ突入して燃え尽きるシーンなどで多くのファンをつかみ、2作目の「HAYABUSA2~RETURN TO THE UNIVERSE」で、多くの人の思いをコラージュ映像化することで「はやぶさ2」プロジェクト立ち上げからを描いてきた、上坂浩光監督の満を持しての最新作「HAYABUSA2 REBORN」の公開が迫っている。
打ち上げ後の地球スイングバイ
リュウグウに近づいたときに見えた石ころだらけの表面
どこへ降ろすべきか、プロジェクトの苦悩
などがミッションの進行とともに全編CGで描かれる
そして白眉は第1回目のタッチダウン
ピンポイントタッチダウンという高度な技を仕込んだ人間の知恵と、それを完璧なまでに遂行しようとする「はやぶさ2」のタッチダウンに至る姿は、まるでそこに生ある「はやぶさ2」がいるような錯覚さえ覚える。インパクタによる人工クレータ生成とその近くへの2回目のタッチダウン映像にも見どころが満載だ。
本作は、プラネタリウムでの上演という教育的な見地からの配慮も忘れない。
なぜ目的地が小惑星「リュウグウ」だったの、「リュウグウ」ってどうやってあんな岩石が寄り集まっただけのラブルパイルという姿になったの、こういった小惑星が地球に水や生命の起源物質を届けるって・・・?
多くの示唆に富む映像が、篠田三郎さんの抑えた語り口と、酒井義久さんの感動を覚える音楽とともに“叙事詩”のようにつづられる・・・本作品。
上坂監督に、このタイトル「REBORN」の意味は?とお尋ねしたところこんなコメントをいただいた。
「HAYABUSAシリーズのテーマとして、「命の本質は何か?」という問いかけがあって、それは、「命の本質 は、命を繋ぐこと(=REBORN:生まれ変わり)ではないか?」ということにもひっかけてあります。「命をつなぐ」のは、単に生命連鎖としてではなく、「想いをつなぐ」ことだと考えています。」
本作品に込められた「命を、想いをつなぐこと」是非作品を見て感じてもらいたい。
つくばエキスポセンターでは、来る3月14日より上映予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で16日まで休館 の予定です。
監督:上坂浩光
ナレーター:篠田三郎
音楽:酒井義久
監修:吉川真
制作・著作:HAYABUSA2~REBORN製作委員会
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
協賛:NEC/大正製薬
小笠原 雅弘(おがさわら まさひろ)
元NEC、チーム「はやぶさ」メンバー。
軌道系、航法誘導系担当、特にイトカワへの着陸に使われたターゲットマーカやフラッシュランプを手がけた。1985年にはじめてハレー彗星へ旅した「さきがけ」をはじめ、スイングバイ技術を修得した「ひてん」、月のハイビジョン映像を地球に送り届け「かぐや」など日本の太陽系探査衛星にずっと携わってきたエンジニア。元 NEC航空宇宙システム。
2020年よりフリーランスとして講演、執筆を行っている。