チューリップの花のひみつ(1)
(2018年1月15日)
冬至から1ヶ月近くが過ぎ、日に日に昼の時間が長くなり、日差しが少しずつ強くなってきましたが、冬はこれからが本番、まだまだ気温は低く、暖かな春の訪れが待ち遠しい日々が続きます。
ところで春になればたくさんの花が咲きますが、花の中には、サクラのように一度咲いたら散るまで咲き続ける花とチューリップのように毎日開いたり閉じたりを繰り返す花があります。(皆さん、気づいていましたか?)
今回は、この、チューリップについてのお話です。
■チューリップ・バブル
チューリップといえばオランダという国を思い浮かべます。
オランダでは、1600年代にチューリップの球根の値段が非常に高くなったときがあったそうで、ある球根1つに対し広さ50,000m2の土地との交換が申し出られたと記載してある資料があるそうです。1)
また、別の資料によると、同じ品種の球根が一般国民の平均年収の約5倍の価格で売買されたそうです。2)
国税庁によると平成28年の日本の給与所得者の平均年収は422万円だそうですから、その5倍というと、今の日本でいうと 2,110万円ということになります。3)
チューリップの球根1個の値段と考えると、正常な値段だとはとても思えませんよね。チューリップの球根にこのような異常な値段がついていたことを、チューリップ・バブルと言うのだそうです。
ちなみに、このチューリップ・バブルが起きた1600年代は、日本とオランダが長崎貿易を通じて外交貿易関係を持ち始めた時期でもあり、この頃に来日したオランダ人の船乗りヤン・ヨーステン(ヤン=ヨーステン・ファン・ローデンスタイン)は、江戸城下に屋敷を構えて江戸幕府の外交政策の相談役となったそうです。その屋敷跡が現在の東京駅八重洲口のある地名「八重洲」の由来なのだそうです。(「ヤン・ヨーステン」が転じて「ヤエス」となったようです)4)
■チューリップの球根
チューリップはユリ科の植物で、球根には食材としてのユリ根のようにデンプン質が多く、さらに糖度も非常に高いので、オランダでは食用としての栽培も盛んで主に製菓材料として用いられているのだそうです。5)
また、あるテレビ番組でチューリップの球根の糖度を測ったところ、メロンの2倍以上の34.2度もあったそうで、砂糖不使用にもかかわらず激甘の球根モンブランが作れたそうです。6)
ただし、食用に適するものは品種改良された専用の品種で、一般の園芸品種は灰汁が強く、また、多くの品種で毒性があり、農薬などの問題もあるので一般的には食用は避けるべきである、とのことです。7)
■チューリップの花の開閉の仕組み
ところで、チューリップの花が、毎日開いたり閉じたりを繰り返すのは、どのような仕組みによるのでしょうか。
小学校のときに、同じ植物でも、日向で育つ場合はがっしりとしてあまり背丈が伸びず、日陰で育つ場合はひょろっとして背丈が伸びている、ということを習ったと思います。このことから、チューリップの花の開閉の仕組みについて、次のような想像をすることができます。
この仮説が正しいかどうかを、どのようにすれば確かめることができるでしょうか。
(つづく)
【参考資料】
1)https://ja.wikipedia.org/wiki/チューリップ・バブル
2)http://pepera.jp/story_of_bubble/tulip_mania/
3)http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2016.htm
4)https://ja.wikipedia.org/wiki/日蘭関係
5)https://ja.wikipedia.org/wiki/チューリップ
6)http://www.ntv.co.jp/megaten//archive/library/date/08/03/0309.html
7)https://ja.wikipedia.org/wiki/チューリップ
8)https://ja.wikipedia.org/wiki/バイメタル
村石 幸正(むらいし ゆきまさ)
教育に関する遺伝と環境からの影響を調べるため、募集枠を設けて双生児を入学させている東京大学教育学部附属中等教育学校で、長年にわたり、理科・物理の教員を務め、放射線教育に関わると共に、双生児研究に携わってきた。
現在、中央大学理工学部に教職課程担当の特任教授として勤務。