チューリップの花のひみつ(2)
(2018年2月01日)
■チュッリップの花の開閉の仕組み
前回、チューリップの花が、毎日開いたり閉じたりを繰り返すのは、次のような仕組みによるものではないかと仮説を立ててみました。
この仮説が正しいかどうかを、どのようにすれば確かめることができるでしょうか。
まず、この仮説が正しいとすると、咲き始めのときの花びらの長さよりも、散るときの花びらの長さの方が長いはずです。
このページ( http://yaplog.jp/anxnail/archive/128 )には、チューリップの花びらの長さが
4月 7日:5.5cm
12日:7cm
16日:8cm弱
というデータが出ており、確かに花びらの長さは長くなっています。
次に、本当に光が当たると花が開き、暗くなると閉じるのか、つまり、花の開閉は光によるものかどうかについて、確認をする必要があります。
一般的に、日の出とともに気温が上がり、日没とともに気温が下がるという傾向にあるため、花の開閉は光によるものなのか、温度によるものなのかについて確認する必要がある、ということなのです。
実は、花を大きく分けると、光による刺激によって開花するものと、温度の上昇によって開花するものがあります。
では、チューリップはどちらなのか。この確認はどのようにすればよいでしょうか。
1つめは、温度を一定にして、光の量だけを多くしたり少なくしたりできる環境を用意して調べる方法があります。このとき、明るいときに開いて、暗くすると閉じれば光の条件が重要だとわかります。
2つめは、明るさを一定にして、温度だけを上げたり下げたりできる環境を用意して調べる方法があります。このとき、温度が上がると開いて下がると閉じれば温度の条件が重要だとわかります。この結果は、この確認実験を実際にされた方のページをご覧ください。http://www.macmem.com/endo/mb200406.html
このページに記載されている実験の結果から、チューリップの花の開閉は、光によるものではなく、温度によるものであることがわかります。
つまり、今回の最初に述べてあるチューリップの花の開閉の仕組みに関する仮説「光が当たると開き、光が当たらなくなると閉じる」は正しくはなく、正確には、「(太陽光によって)気温が上がると開き、下がると閉じる」ということであったことがわかりました。
他にもいくつか、チューリップの花の開閉の仕組みについて解説してあるページがあります。
・チューリップはなぜ開いたり閉じたりするの
https://kids.gakken.co.jp/box/nazenani/pdf/07_syokubutu/X1080036.pdf
・刺激を受けて花は開く
https://shop.takii.co.jp/flower/bn/pdf/2013_45.pdf
・マツバギクの開閉
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=344
さらに、次のように、本当に花びらは性質の異なる2つの層からできているのかについての記述があるページもあります。
■チューリップのがく(萼)
最後の話題は、チューリップの花のがくについてです。
一般的に、花には「がく」がありますが、チューリップにはありません。
その理由は・・・
チューリップは、つぼみ全体が、緑色から花の色に変わっていきます。つまり、「がく」が花を保護する役目を終えると、今度は色づいて花びらの役目に変わるのだそうです。1)
つまり、一般的なチューリップの花びらは6枚のように見えますが、このうち外側の3枚はがくにあたるもので、本来の意味での花びらは3枚なのだそうです。2)
チューリップの花のひみつ、おもしろいですね。
【参考資料】
1)https://www.eco-online.org/2011/04/17/春の自然を見てみよう-チューリップってどんな花/
2)https://kids.gakken.co.jp/box/rika/05/pdf/B045102030.pdf
村石 幸正(むらいし ゆきまさ)
教育に関する遺伝と環境からの影響を調べるため、募集枠を設けて双生児を入学させている東京大学教育学部附属中等教育学校で、長年にわたり、理科・物理の教員を務め、放射線教育に関わると共に、双生児研究に携わってきた。
現在、中央大学理工学部に教職課程担当の特任教授として勤務。