マーブル模様のひみつ
(2018年7月15日)
渦巻きや筋を細かく重ねた模様をマーブル模様といいます。マーブルとは「大理石」のこと。磨いた大理石の美しい斑紋のようすから名づけられました。
この回では、固体、気体、液体においての3種類のマーブル模様の例をご紹介します。
初めに、「固体」のマーブル模様です。大理石のマーブル模様はどうしてどのようにできるのでしょうか? 大理石は地中深くにある石灰岩に大きな圧力と熱が加わり、長い時間かけて再結晶したものです。純粋な石灰岩は白いのですが、不純物が混ざった部分は色がついてムラになります。石灰岩に何度も熱や圧力が加わることで、白い層や色のついた層が、幾層にも重なります。地中深くにあった大理石は、長い年月ののちに地殻変動によって隆起して地上に現れます。そして風雨にさらされて侵食され、大理石の断面が露出することで、美しいマーブル模様を見ることができるのです。
チリとアルゼンチンの国境にまたがるヘネラル・カレーラ湖には「マーブル・カテドラル」とよばれる洞窟があります。大理石の地層を湖の水が少しずつ削ることでできたマーブル模様の洞窟です。大理石が湖の色を反射して青く輝くさまは神秘的で聖堂(カテドラル)と名付けられました。途方もない年月がかかってできた美しい自然の芸術です。
「気体」に見られるマーブル模様には、とてもスケールが大きいものがあります。木星は、茶褐色の縞模様を持つ惑星です。2016年7月に惑星探査機ジュノーが木星へ到達し、表面の詳細な写真を地球へ送りました。その細やかなマーブル模様の美しさは世界を驚かせました。木星は、水素とヘリウムでできているガス惑星で、上空はアンモニアの氷のつぶでできた雲に覆われています。木星が10時間で1回転というものすごいスピードで自転することで、乱気流が起こり雲のマーブル模様を作り出しています。
大理石も、木星の雲も、地球・宇宙に現れるマーブル模様は偶然に作られます。その魅力は、同じ模様が二つとないところです。
マーブル模様の美しさは、アートにも応用されています。「液体」の上にマーブル模様を作って、その複雑な模様の美しさを楽しむ、「マーブリング」という絵画の技法があります。水面にインクを垂らして、細い棒やくしを水面で動かし、できたマーブル模様を紙などに写し取るものです。水の上に偶然できた繊細な模様の美しさに多くの人が魅了され、インテリアやファッション、本、絵画を飾る紙などに使われました。
マーブリングは、中央アジアから、オスマントルコを通してヨーロッパへ広まり、またインクの代わりに墨を使った「墨流し」として、アジアへも伝わりました。
マーブリングを手軽に楽しめるキットも発売されていますので、ぜひ体験してみてください。
学研プラスSTEAM事業室 富澤寛子
マーブリングを手軽に楽しめるキット
科学と学習PRESENTS 『カラフル3Dマーブリング』
紙はもちろん、石や木などの立体物にマーブリングができるキット。混色もできる4色のインクと、くしやスティックも付属しているので、不思議な模様があっというまに描ける。石ころにマーブリングすれば世界にひとつだけの宝物に変わる!対象は6歳以上。
価格:1,850円+税