[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

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わかる科学

朝早く起きて、きれいな霜を見よう!

(2016年12月15日)

 落ち葉や草についた霜

 12月になると、本州、四国、九州の暖かい地方でも、霜が降りるようになります。

  霜は、地面近くの空気の温度が0℃よりも下がったとき、空気中の水じょう気が細かい氷の結晶になって、地面や草の葉などについたものです。

  気温は、地上1.5mの高さではかったものですが、地面の近くではそれよりも何℃か低くなっています。そのため、気温が2~3℃でも霜がおります。とくに雲のないよく晴れた夜には、放射冷却(ほうしゃれいきゃく)といって、地上から熱が宇宙へにげていくので、気温がいっそう下がります。そんなときに霜が降りやすくなります。

 遠目に見ると霜は地面が白くなっただけですが、近づいてみると落ち葉や草に降りた霜はなかなか美しいものです。
 霜が降りる日は寒いので、朝早くから外へ出ようという気にならないかもしれませんが、早起きして畑や公園の植え込み、雑木林のへりなどを歩いてみましょう。さまざまな色や形の落ち葉や草の葉が、細かい氷の結晶にふちどられているのが目に入るでしょう。紅葉とはまた一味ちがった美しさです。日がのぼって温かくなると霜は溶けてしまうので、朝の早い時間にしか見られない自然のアートといえるかもしれません。

 霜と呼び方が似ているものに「霜柱」がありますが、霜と霜柱はまったく別のものです。
 霜柱は、直径2~3mmの細い氷の柱がたくさん集まって、地面から上にのびたものです。地面の中の水が土のつぶのすき間を通って上がっていき、温度が0℃ぐらいの地面にとどいたときに、こおってできます。よく見ると、霜柱の上にはうすい土がのっています。その上をさくっ、さくっと氷の柱をふみつぶしながら歩くのも、気持ちがいいですね。

 

上浪 春海(うえなみ はるみ)
大学は文系だが、子どものころから理科が好き。1980年ごろから今日まで、科学雑誌や図鑑、絵本、Webコンテンツなどで身近な科学や最新科学の紹介記事を書いてきた。専門用語をなるべく使わず、誰もがわかりやすい、面白いと感じてくれるような文章を心がけている。