災害から身を守る計測技術(地震を測る)
(2021年9月01日)
9月1日は「防災の日」、9月1日をふくむ1週間は「防災週間」です。「防災の日」、「防災週間」は、約100年前の大正12年(1923年)9月1日に関東地震(関東大震災)が発生したこと、古くからこの時期に災害になるような台風が日本に上陸してきたことから、過去の災害を忘れないように定められました。
さて、地震が発生すると、TVやラジオ、インターネットより【○○地方で地震が発生しました、震度○○を観測したのは、○○市、○○町です】と、どこで、どのくらいの大きさの地震が発生したかが知らされます。
【震度】は、地震が発生したとき、みなさんがいる場所のゆれの大きさを10段階(震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7)で表したものですが、どのように測っているのでしょう?
かつては、人が感じたゆれの大きさや地震後の周囲の建物のこわれ方などから決定していました。しかし、この方法では、人によって感じ方が異なったり、震度を決定するのに時間がかかったりします。このため、平成8年(1996年)4月より地震のゆれを計測することができる震度計(加速度計)を用いた自動観測となりました。
気象庁より発表される震度は、気象庁、地方公共団体、(国研)防災科学技術研究所が、全国4,000以上の場所に設置した地震計で観測したものです。
従来、震度計(加速度計)は、高価で注意深くあつかわないとこわれてしまうことがありました。しかし、技術の進歩により、安価で強くなるとともに小さくなりました。この結果、様々なところで地震の様なゆれを測ることができるようになりました。
例えば、スマートフォンにもゆれを測る機械が取り入れられていて、万歩計のアプリケーションなどに活用されています。
また、みなさんの家の台所にあるIHヒータやガスコンロにつながっているガスメーターでもゆれを測っています。
以前は、「地震だ!火を消せ」と言われてきました。これは、最初に書いた関東大震災の時に、多くの火災が発生したことから生まれた教訓です。
しかし、地震の強いゆれのさなか、加熱中の調理器具を止めようとすると、地震のゆれでヤカンやナベがひっくり返ってしまい、高熱のお湯や油を浴びて火傷を負ってしまう危険があります。
関東大震災が発生した当時の料理は、多くの家庭でまきや炭を使っていました。一方、現在私たちが使っているIHヒータやガスコンロは、地震が発生してゆれを感知(震度5弱程度以上)すると自動的に止まるようになっているため、人の手で止める必要はありません。
料理中に地震を感じても、調理器具に近づくことはせず、はなれて身の安全を確保しましょう。
みなさんの身の回りにも、災害から身を守るための計測機器や様々な技術があります。どんなものがあるかを調べて、災害時の行動を考えてみましょう。
長屋 和宏(ながや かずひろ)
国土交通省 国土技術政策総合研究所(国総研) 道路地震防災研究室
私たちの生活を支える橋などの土木インフラの大切さを知ってもらうために、出前講座などを通じて国総研の活動を分かりやすく発信しています。
特に防災分野では、小中学生の皆さんと一緒に、様々な視点で勉強しています。