[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

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災害救助犬が着る「サイバー救助犬スーツ」を開発

(2018年7月03日)

開発されたスーツを着たサイバー救助犬(画像提供/東北大学未来科学技術共同研究センター)

 地震や台風といった自然災害で建物が倒壊すると、瓦礫の下敷きになった人がいないか、速やかに確認しなければなりません。そのため人間による捜索だけでなく、被災者を探すように訓練された災害救助犬の助けを借りることがあります。
 イヌが持つ優れた運動能力や嗅覚を活かして被災者を探してもらおうとしているのですが、大規模な自然災害だと被災地も広大になり、災害救助犬の探査範囲は人が見える範囲よりも広いため、災害救助犬がどのように活動しているかを把握することは困難でした。
 こうした問題を解決するため、東北大学未来科学技術共同研究センターの大野和則准教授らは、日本救助犬協会の協力の下、災害救助犬に着せて、その活動を遠隔監視する「サイバー救助犬スーツ」を開発しました。

 このスーツにはカメラやマイクのほか、災害救助犬の動きを計測する慣性センサー、位置を割り出すグローバル・ナビゲーション・サテライト・システム(GNSS)の端末などのセンサーに加えて、これらのセンサーを動かすバッテリーが搭載されています。センサーが得た情報は携帯電話網とインターネットのクラウドサービスを通じて、離れた場所にいるハンドラーや指揮本部に送られて、災害救助犬が集めた情報を共有することができるようになっています。例えば、災害救助犬が捜索した範囲を地図上に示して、ハンドラーが持つタブレット端末に提示することも可能です。

 

サイバー救助犬スールを用いた被災者の捜索。(画像提供/東北大学未来科学技術共同研究センター)

 

 

 ただし、スーツを着ることで、災害救助犬の活動を制限するようなことになっては、捜索はままなりません。研究グループは体重15㎏以上の中型犬、大型犬が着ることを想定して、スーツの重量を1.5㎏に収まるようにしました。体重の10分の1程度の重さなら災害救助犬の活動を制限しないと考えられたのです。それでいて野外で活動する以上、雨風にさらされる可能性はあるので、スーツは防水性が高められています。
 このスーツを着せておくことで、カメラが撮影した災害地の様子を遠隔で確認できるほか、救助犬が移動した範囲がわかるので、効率よく被災者を探すことができるようになるでしょう。

 

サイバー救助犬の捜索の様子と、スーツによって得られた情報は、このように可視化できる。(画像提供/東北大学未来科学技術共同研究センター)

 

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記事執筆:斉藤勝司
http://www.kodomonokagaku.com/