絶滅危惧種のコウモリ、22年ぶりに発見!
(2018年6月01日)
京都大学の研究グループの調査により、絶滅危惧種のヤンバルホオヒゲコウモリが22年ぶりに沖縄本島で発見されました。
ヤンバルホオヒゲコウモリは1996年に沖縄本島北部に広がるやんばるの森で発見されて以降、徳之島と奄美大島で数回観察されただけで、ずっと発見されませんでした。そのため国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」では、最も絶滅の危険性が高い「近絶滅種」に指定されており、沖縄本島ではすでに絶滅してしまったのではないかと心配されてきました。
それほど珍しいコウモリが発見されたのは、沖縄に駐留するアメリカ軍に訓練場として使用され、半世紀以上に渡って一般の人の立ち入りが禁止されていたところです。2016年12月に訓練場がアメリカから返還されたことで、京都大学大学院情報学研究科のクリスティアン・ヴィンセノ博士が代表を務める「島コウモリ調査グループ」が調査を実施したところ、2018年2月20日午後8時5分に、研究グループに参加する同大学大学院生のジェイソン・プレブルさんが1匹のオスのヤンバルホオヒゲコウモリを捕獲しました。
健康状態が良いことを確認し、小型発信機を取り付けて、その行動を追跡した結果、2月23日の夜に2匹目のオスを捕獲。さらに2月27日の夜には3匹目のオスを捕らえることに成功しました。
これでヤンバルホオヒゲコウモリが沖縄本島で絶滅していないことが確かめられたわけですが、アメリカ軍が訓練場として使用するために一般人の立ち入りが制限されていたことで、訓練場が保護区のような機能を果たし、環境の変化に敏感なヤンバルホオヒゲコウモリでも生息できたと考えられます。また、これまで訓練場以外では発見されていないということは、ヤンバルホオヒゲコウモリは非常に限定された地域にしか生息できないことを意味し、絶滅の危機にさらされているといえるでしょう。
だからこそ訓練場が日本に返還されたといっても、不用意に開発されることなく、これからもヤンバルホオヒゲコウモリが暮らせる環境が維持されることが期待されています。
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記事執筆:斉藤勝司
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