[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

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わかる科学

電子レンジは水を振動させている?

(2018年3月15日)

 みなさんは電子レンジを使って料理を温めたことがありますか?

 火を使っていないのに料理が温まるなんて不思議ですね。
 今回はなぜ電子レンジで料理が温まるのか考えてみましょう。

 電子レンジには”マグネトロン”という強力なマイクロ波を出す装置が入っています。
 マイクロ波は目に見えない電磁波で、電子レンジだけでなくレーダーや衛星放送、無線LAN機器などにも利用されています。
 マイクロ波は300MHz(メガヘルツ)から300GHz(ギガヘルツ)までの電磁波のことで、電子レンジは2.45GHz付近の強力な電磁波が出ています。2.45GHz付近の電磁波は水分子を振動させることができます。
 料理の中にはたくさんの水分子が含まれており、マイクロ波によって水分子が高速振動を起こし、この振動が熱となって料理を温めます。
 

 水は100℃になると水蒸気になり、水蒸気になると100℃以上になります。なので、牛乳や水を電子レンジで長時間温めると沸騰しますが、パンを長時間温めると100℃以上になって焦げたり燃えたりしてしまいますので注意する必要があります。また、生卵をそのまま電子レンジに入れて温めると卵の内側の水分が水蒸気になり爆発してしまいます。ギリギリ爆発しなかったとしても、卵に歯を立てた瞬間に爆発することがありますのでくれぐれも注意しましょう。

 また、電子レンジの中に入れた料理は温まりますが、外に置いた料理は温まりませんよね?これは、電子レンジの壁で電磁波を反射させることで外に漏れないように工夫しているからです。電磁波を反射させることで全方位から電磁波が料理に当たるため、効率よく料理を温めることができます。

 ちなみに、無線LAN機器からも2.4GHz付近の電磁波が出ていますが、電子レンジと比べると微弱な電磁波なので、料理を温めることはできません。例えば、強力なガスコンロでお湯を沸かすのは簡単ですが、火打石の火花でお湯を沸かすのは難しいですよね。

 目に見えない電磁波を使って料理を温めたり遠くの人と話したりできるなんて不思議ですね。私たちが普段気軽に使っているものがどういう原理で動いているのか調べてみるといろいろな不思議に出会えて楽しいですね!

 

ペンネーム:シロカメ
 私たちの世界には、あらゆる色で溢れています。少しずつ沈みゆく日没の空を眺めながら、空や太陽の色の変化に見とれ、そして不思議だと感じた事はありますか?
コラムでは、そんな光の不思議について答えたいと思っています。
得意分野は電気と光。太陽エネルギーを測るのが仕事です。趣味はカメラ。