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室内でどれだけ化学物質にさらされる?―パソコンによる評価手法を開発:産業技術総合研究所

(2016年10月20日発表)

 (国)産業技術総合研究所は10月20日、人間が室内で洗剤や殺虫剤、家電や家具などの製品から放出される化学物質にどの程度さらされているかをパソコンで評価できるソフト「室内製品暴露評価ツール(ICET)」を開発、誰でも無償で利用できるようインターネット上で公開したと発表した。化学物質による健康被害事故の原因究明や製品開発の際の安全性評価に役立つと期待している。

 開発したのはICETの無償版Ver.0.8。人間が呼吸や皮膚、口を通して、室内で使用するさまざまな製品から放出される化学物質にどの程度さらされているかを推定する。洗剤や殺虫剤などの形で化学物質を直接使用する場合だけでなく、家電製品や家具などの成形品に含まれる化学物質が室内の空気中に徐々に放散されたり、水に溶けだして皮膚表面から吸収されたりする場合も評価できる。

 これらの機能は、製品に触れたときに皮膚の表面から内部に化学物質がどの程度移行し、吸収されるかを推定する機能を開発するなどして実現した。製品表面についたハウスダストに化学物質が移行する量も推定、ハウスダスト経由で人間が化学物質にどの程度さらされるかも評価できるようにした。

 また、住宅内では殺虫剤や洗剤などが固体や液体、スプレー噴霧などさまざまな形で使われるが、これらの多様な使用形態を考えて化学物質の室内濃度を推定する機能も持たせた。さらに日本の住宅事情や世帯の属性、使用されている代表的な製品に含まれる化学物質に関する様々なデータベースを組み込み、日本で特定の化学物質にさらされている人たちの人口分布も推定できるようにした。

 化学物質による健康被害の原因究明や新製品の安全性評価では、実際の使用環境に近い状況でのリスク評価が必要。しかし従来は実務に使える手法がなく、新製品開発では安全性を確保するためにリスクを過大に評価する傾向が強かった。そこで多様な使用形態に対応し、日本の実情に合った評価手法の開発が望まれていた。

 産総研は今後、「企業の現場や将来的な問題として懸念されている事例のケーススタディーを進め、ICETをさらに改良していく」と話している。