小惑星リュウグウから採取した試料からアミノ酸など検出―太陽系における物質進化の理解深まる:宇宙航空研究開発機構ほか
(2022年6月10日、13日発表)
「はやぶさ2」が2回目のタッチダウンで採取した10mm超〜3mmの大型のリュウグウ粒子。シャーレの外径は60mmで、底面に刻印されているグリッドの間隔は5mm。右下にある3個の金属片は、サンプル採集時に発生した探査機起源の人工物(アルミ片)。(2020年12月22日撮影) ©JAXA
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料の初期分析に関する2件の成果を、6月10日、13日に発表した。10日の発表は化学分析の成果で、リュウグウはCIコンドライトと呼ばれるイヴナ型炭素質隕石でできていることが分かったとしている。13日は、生命の起源に結び付くアミノ酸やその他の有機物が検出され、太陽系における物質進化に関する理解が進展したと報じた。
「はやぶさ2」は、炭素系の物質を主に含むC型の小惑星を探査してサンプルを持ち帰ることを目的とした探査機。2014年末に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられ、2018年に小惑星リュウグウに到着し、試料を2地点から採取して2020年末に地球に帰還した。
持ち帰った試料は総量約5.4g。このうちの55mgを用いて化学分析と地球科学総合解析を進めていた。
化学組成と同位体組成の測定の結果、リュウグウは炭素質隕石、特にイヴナ型炭素質隕石から構成されていることが判明した。その主な構成鉱物は、リュウグウの母天体中で水溶液から析出した二次鉱物であった。
氷が溶けた水溶液により一次鉱物が分解して二次鉱物に変わる現象を水質変成と呼ぶが、水質変成が起こった年代を年代測定法などで調べたところ、太陽系誕生の後、約500万年たった頃、水質変成が発達し、二次鉱物が析出されたことが分かったという。
C型小惑星は、その構成物質中に、有機物や水を含むと考えられてきた。今回の試料解析の結果、リュウグウの物質中には生命を構成するのに不可欠な水素、炭素が含まれていることが確認されるとともに、アミノ酸や含窒素複素環式化合物など多くの有機物が検出された。
分析チームは「検出されたアミノ酸は、地球以外の太陽系内にもともと存在していたことになる。我々はアミノ酸を含む有機物が氷天体で形成進化し、これが地球環境にもたらされたことによって生命が誕生したのではないかと考えている」と述べている。
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2022年6月10日のリリース: 小惑星探査機「はやぶさ2」初期分析
2022年6月13日のリリース: 小惑星探査機「はやぶさ2」Phase-2キュレーション成果論文の日本学士院紀要掲載について
はやぶさ2プロジェクト: JAXA Hayabusa2 Project