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導電性高分子に新技術―水でも有機溶媒中でも合成可能に:筑波大学ほか

(2022年6月15日発表)

 筑波大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)は6月15日、低コストで高い電気伝導度を持つプラスチックが水の中で作れるとして注目される導電性高分子「ポリアニリン」を有機溶媒のアルコール中で合成することに成功したと発表した。有機溶媒に溶けにくいために他のプラスチックとの複合化が難しいという弱点を解消できる。新技術によって導電性のあるゴムや半透明材料などが実現でき、工業的な応用の幅が広がると期待している。

 研究グループは今回、染料化学でよく使われる安価なアニリンと有機スルホン酸またはアニリン塩をエタノールやトルエンなどの有機溶媒に加え、少量のヨウ素を添加して撹拌するだけでポリアニリンが合成できることを見出した。そこで、有機溶媒にアクリル樹脂やポリスチレンなどのプラスチックを溶解し、その溶液中でアニリンとの重合反応を試みた。

 その結果、これらのプラスチックとアニリンが分子レベルで複合化し、弾力性や透明性、耐久性など、それぞれの特徴をあわせ持つポリマーコンポジットができることを確認した。アクリル樹脂やポリ酢酸などとのポリマーコンポジット作りでは、コンポジットの粘性を有機溶媒の添加によって調節でき、塗料として利用することも可能になることが分かった。

 今回の新技術について、研究グループは「導電性ペイントや防錆(さび)プラスチック、導電性梱包(こんぽう)材量などの作成も可能になる」「十分な力学的強度や柔軟性のある導電性エンジニアリングプラスチックの開発にもつながる」として、導電性ポリマーの工業的な応用の道が広がると期待している。今後は新技術を用いて導電性ゴムや導電性繊維、導電性梱包材などの作成にも取り組む。