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効率20%超で1,000時間以上の連続太陽光発電に成功―次世代型のペロブスカイト太陽電池で実現:物質・材料研究機構

(2022年9月16日発表)

 (国)物質・材料研究機構は9月16日、20%以上の光電変換効率を維持しながら、1,000時間以上の連続発電に耐える1cm角の大きさのペロブスカイト太陽電池を開発したと発表した。現在主流のシリコン型に置き換わる次世代太陽電池の実用化開発に近づく成果という。

 ペロブスカイト太陽電池はペロブスカイトと名付けられた結晶構造をとる化合物を中核とする太陽電池。製造コストが安く、プラスチック基板上に低温で製造でき、軽量で、高い発電効率(光電変換効率)が期待できるなどの特長があるため、次世代の太陽電池の有力候補と目されている。

 ただ、水分との反応により劣化しやすいという難点があり、それを解決して高い発電効率と長期耐久性を両立させることが課題だった。

 研究グループは、この問題の解決の鍵とされる、水分子を遮断する界面制御の技術を開発、効率・耐久性両立への展望を開いた。

 ペロブスカイト太陽電池は、太陽光を受けて電子と正孔(せいこう)を発生させるペロブスカイト層、発生した電子を取り出して輸送する電子輸送層、正孔を取り出して輸送する正孔輸送層、それと電極層などが積層された構成になっている。

 ペロブスカイト層と電子輸送層、あるいは正孔輸送層との界面に欠陥があると、電子と正孔が短絡して電力として取り出せなくなる。

 そこで、研究グループは今回2つの界面制御技術を取り込んだ。まず電子輸送層とペロブスカイト層の界面に撥水(はっすい)性のフッ素原子を有するヒドラジン誘導体を導入した。これにより電子輸送層を通じてペロブスカイト層に侵入する水分子を遮断し、発電ロスの原因となるペロブスカイト表面欠陥の形成の抑制や耐久性の向上に成功した。

 また、正孔輸送層とペロブスカイト層の界面には、ホスホン酸誘導体を導入、正孔輸送層の欠陥を極小化し、発電ロスを抑制した。

 研究室レベルのサイズよりも大きい世界標準の評価サイズである1cm角(1cm2)のデバイスを作製し、界面制御したペロブスカイト太陽電池の性能を評価したところ、発電効率20%以上を維持しながら1,000時間以上の連続運転を確認した。

 今後界面制御のための分子設計を進めることにより、さらに高効率で耐久性の高いペロブスカイト太陽電池の研究進展を目指すとしている。