春、夏どり用のコンパクトネギ2品種を育成:農業・食品産業技術総合研究機構
(2016年11月16日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は11月16日、ネギの葉が短く手軽に持ち運べて、緑の葉先まで軟らかくおいしく食べられるコンパクト型の新品種「こいわらべ」(4~6月に安定生産)と「すずわらべ」(7~9月)の2種類の育成に成功したと発表した。種子は近く民間種苗会社から販売される予定。
双方ともに普通のネギよりも短く、ネギの白い部分(葉鞘(ようしょう))が太いうえ、形状もそろっているのが特長。農家にとってはネギの根本に土をかぶせて日光を遮る土寄せ作業が大幅に減り、普通のネギより1か月ほど早く収穫できるため生産コストを下げられる利点がある。
「こいわらべ」は葉から花茎が伸び、ネギ坊主を付ける「とう立ち(抽だい)」と呼ばれる時期が遅いため、春どりと初夏どりの安定生産が可能になった。コイのぼりの季節の5月が収穫期に当たるためこの名を付けた。
「すずわらべ」は夏場の高温期でも生育が旺盛で、形も良くそろっていることからサヤの太い優れたネギが収穫でき、市場価格も良いとされる。「すず」は収穫期の夏に清涼感を与えるイメージからこう名づけた。
消費者の嗜好やライフスタイルの変化によって、辛味が少なく、短く葉鞘の太いタイプのコンパクトネギは、買い物の際の持ち運びや冷蔵庫への収納が楽で、少人数でも使い切りやすいことから好まれるようになった。さらに硬くて食べにくく捨てられていた緑の葉の部分も、節約志向から食べられるように品種改良した物に人気が集まっている。
こうした消費者のコンパクト嗜好に応えて農研機構は品種の育成に取り組み、2009年に冬どり用の「ふゆわらべ」を、2012年には秋冬どり用の「ゆめわらべ」の育成に成功していた。これで味覚、形状、使い勝手ともに好まれるネギを、年間を通して収穫できるようになったとしている。