特定外来生物「カワヒバリガイ」が那珂川水系に侵入―農業用の水路などに被害与える二枚貝、調査の結果判明:農業・食品産業技術総合研究機構
(2016年11月21日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は11月21日、農業用の水路などに被害を与える二枚貝の一種「カワヒバリガイ」が利根川水系から那珂川水系に侵入していることが調査の結果判明したと発表した。
人や農林水産業に被害を及ぼす外来生物を環境省は、特定外来生物に指定している。
カワヒバリガイは、2006年からその特定外来生物に指定されている淡水に生息する二枚貝。日本には、中国からのシジミ類に混じって1980年に入ってきたとされ、1990年に岐阜県の揖斐川で初めて確認されている。
カワヒバリガイの殻長(かくちょう=貝の大きさ)は、2~3cm。直接人の健康に影響を与えることはないとされているが、繊維状の物質を分泌して貝がコンクリートや、岩、石などに固着する性質があるため、水路などの壁面に付着したり、死貝が給水栓などに詰まって通水を止めてしまうといった障害を引き起こす。
関東地方でも2005年に生息が確認され、利根川水系の広い範囲に生息域が拡がってきている。
今回の調査は、同機構の農業環境変動研究センターが2014年から2015年にかけて実施したもので、那珂川水系内へもカワヒバリガイの侵入が既に始まっていることが判明した。
那珂川水系と利根川水系は、隣接しているが直接繫がっておらず、2014年5月までは那珂川水系にカワヒバリガイが生息していないことが確認されている。
それがその後変わっていたことが今回明らかになったわけで、同機構は利根川水系から取水している那珂川水系内の水利施設を経由して入ってきているものと推定している。
同機構は、生息が確認された範囲が狭く密度も低いため、那珂川水系へのカワヒバリガイの侵入はまだ初期の段階にあると見ており、現在、関係する水利施設管理組織と連携して貯水池や水路、河川を対象とした生息分布の把握や、冬季に貯水施設の水を抜くなどの駆除対策を進めている。