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畑作の湿害防止に新機械、暗渠(あんきょ)敷設機を開発―農家の手で簡単に暗渠を埋設できる:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2023年4月25日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は4月25日、畑の地中に簡単に排水用の暗渠を埋設することができる暗渠敷設機を(株)北海コーキと共同で開発したと発表した。畑作で求められている排水を良くするための暗渠を簡単・迅速に農家自らの手で敷設することができるという特徴を持ち、北海コーキが商品化した。

 暗渠は、地下水や地中に溜まっている雨水を排除するため地中に設けた地下排水路のこと。

 日本では、主食用の米の需要減少が続いており、農林水産省の調べによると毎年10万t前後減っている。

 そのため、水田での米作りから畑作への転換が進められているが、そこで求められるのがほ場(ほじょう:農作物を栽培する場所)の排水。水田を畑に転換したほ場は、排水性が劣り、雨水や地下水が地中に溜まったままの状態で畑作物を栽培している場合が多くある。こうしたほ場では、湿害のために目標とする収穫量や品質を保てないでいる。

 そうしたことから、水田を畑に転換したほ場では排水対策が欠かせず、排水性を良好な状態に維持できるようにすることが重要な課題になっており、ほ場の排水の抜本的な改善になる対策として注目されているのがほ場の地中に排水路となる暗渠を設けて地中の過剰な水を外部に排出するという方法。

 しかし、暗渠は主に公共事業に使われている手法で、施工に要する労力や費用の負担が大きく、畑作の排水にはコスト的に向いていなかった。

 今回開発したのはこの課題に応える暗渠敷設機で「カットドレーナー」と呼び、これを使えば地中約80cmの深さまで暗渠管(内径5cm)を簡単に敷設することができるという。

 敷設作業は、畑作農家が使っているトラクターや農業用ブルドーザーにこの「カットドレーナー」を装着し農家自らが操作して暗渠管を敷設していく仕組み。

 農研機構は、普及のため各地で実演や現地実証を行っていて「2023年2月末現在、5道県6地域で実証試験を実施している」という。

 共同開発を行った北海コーキがトラクター販売店などを通じて既に販売をはじめている。

カットドレーナーで暗渠の構造 ©農研機構
トラクタへの装着状況(80馬力ハーフクローラー) ©農研機構

 

製品詳細についてはこちら(株式会社北海コーキ「カットドレナー」紹介HP)

 

※プレスリリースへのリンクは以下を参照