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ウンシュウミカンの両親をDNA鑑定で探し出す:農業・食品産業技術総合研究機構

(2016年12月7日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は12月7日、DNA鑑定を使ってわが国の代表的な柑橘類であるウンシュウミカンの両親が、キシュウミカンとクネンボと推定されるとの研究結果を発表した。ウンシュウミカンと親品種のゲノム情報から、ミカンに含まれる有用機能性成分の優れた性質が解明でき、柑橘の品種改良の効率化が可能になるとみている。

 ウンシュウミカンはわが国の柑橘出荷額の約7割を占める。甘くて味がよく、皮がむきやすい、タネが少ないのが特長。また収量も多く、病害虫にも強く、栽培のしやすさも優れている。

 特に橙色の色素であるβ—クリプトキサンチンが豊富に含まれる。

 同機構ではDNAマーカーを使って国内で生産される67品種の柑橘について、ウンシュウミカンとの親子関係を鑑定した。その結果、明治時代中頃まで主要な柑橘であったキシュウミカンが母親(種子親)で、クネンボが父親(花粉親)であると推定した。

 昔の両親と現在のウンシュウミカンの3品種のゲノム情報を調べることで、どのような遺伝子の組み合わせがβ—クリプトキサンチンを多く含む新しい品種の開発につながるかを解明できるとみている。