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ソバのゲノム解読―十割ソバ向け新品種も実現:京都大学/理化学研究所/農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2023年8月17日発表)

 京都大学、理化学研究所、(国)農業・食品産業技術総合研究機構などの国際共同研究グループは8月17日、ソバのゲノム(全遺伝情報)を解読したと発表した。この成果をもとに小麦粉などをつなぎに使わない十割ソバ作りに適した弾力と粘り気のあるモチ性ソバの開発に成功、さらにソバの起源がチベット南東部にあることなども突き止めた。今後のソバ育種の効率化や世界的な食料問題解決にも役立つと期待している。

 研究グループには、千葉大学や京都府立大学などのほか、中国の雲南農業大学、英国ケンブリッジ大学なども加わった。ソバに注目したのは、食料としての価値が高いにもかかわらず研究が遅れており、未開発のポテンシャルが秘められたままのいわゆる「孤児作物」とされていたためだ。

 そこで今回、遺伝情報の大部分を持っている染色体の全塩基配列を明らかにするとともに、この情報をもとにソバの新品種開発やソバの進化、栽培ソバの起源の解明などに取り組んだ。

 その結果、二種類の特定の遺伝子がソバのモチ性に関与しており、それら両方の遺伝子機能を同時に失うとモチ性が現れることを突き止めた。この成果をもとに、製麵時につなぎの小麦粉などを使用しなくてもボロボロにならない十割ソバが作れるモチ性ソバ品種の開発に世界で初めて成功した。

 また、人間が食料として利用し始めたソバの起源についても注目、初めて栽培化に成功した時に人間がどのような品種を選択したのか、ソバのゲノムに刻まれた痕跡(こんせき)を詳しく調べた。その結果、チベット南東部に自生する祖先野生種(やせいしゅ)の集団が現在の栽培種と最も近縁にあることなどが分かった。

 これらの成果について、研究グループは「孤児作物のゲノム解読は、その効率的な育種を促進し、飢餓の撲滅や栄養改善などのSDGs達成への重要なステップになる」と話している。