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ジオスペース探査衛星「あらせ」打ち上げ成功。軌道に乗る:宇宙航空研究開発機構

(2016年12月20日発表)

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ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG) CG ©JAXA

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月20日午後8時(以下、時間は全て日本標準時)、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)からジオスペース探査衛星(ERG)を乗せた「イプシロン」ロケット2号機を打ち上げ、ほぼ所定の地球を回る軌道に乗せるのに成功、この衛星の名称を「あらせ」と名付けた、と発表した。「イプシロン」ロケットは2006年に引退した「M-V」ロケットの後継機で、「イプシロン」ロケットによる観測衛星打ち上げは2013年9月の1号機以来、3年3か月ぶりである。

 地球の周りの宇宙空間であるジオスペースには、100万電子ボルトを超える高エネルギーの粒子が多量に補捉されているヴァン・アレン帯があることが知られている。しかし、なぜこのような高エネルギーの電子が生まれ、放射線帯が作られたかという謎は1958年のヴァン・アレン帯の発見以来、解明されていない。太陽風の擾乱(じょうらん)で生じる宇宙嵐に伴い、高エネルギー粒子がどの様に生じ、どのように発達するか、その過程を観察するのが「あらせ」打ち上げの目的である。

 このため、「あらせ」は9種類の分析器や観測機を搭載し、傾斜角約31度、近地点約300km、遠地点約3万3,200kmの地球を回る軌道を飛びながら観測を続ける。「あらせ」の質量は約350kg、衛星の「あらせ」という名称は内之浦宇宙空間観測所のある鹿児島県肝属郡肝付町を流れる「荒瀬川」にちなんで名付けられた。「あらせ」は約2か月間の初期運用後、実際の運用を始める。

 「イプシロン」ロケットは固体燃料式の3段ロケット。2号機はエンジンを1号機よりは大きくして搭載可能な衛星重量を1.3倍に増やし、点検作業に人工知能を取り入れた。このため、2号機の打ち上げ費用は約50億円で済んだ。