2型糖尿病発症に新遺伝子―肥満などで活性化:筑波大学ほか
(2023年11月13日発表)
筑波大学、東京理科大学などの研究グループは11月13日、肥満や飲酒などの生活習慣が原因となる2型糖尿病の発症初期に活発に働く遺伝子を突き止めたと発表した。肥満などに伴ってこの遺伝子が活性化すると血糖値を調整するすい臓のインスリン分泌が抑えられことも解明、すい臓の機能不全に深く関与している可能性があるとしている。
筑波大学、東京理科大学に長浜バイオ大学も加わった研究グループが突き止めたのは、糖尿病の発症初期にすい臓のβ(ベータ)細胞で特に活発に働き、特定のたんぱく質「Anxa10」を作る遺伝子。明らかな肥満と高血糖を示す2型糖尿病のモデルマウスを用いた実験で病気の進行に伴ってすい臓の細胞にどのような変化が現れるかを詳しく解析、この遺伝子を突き止めた。
発見した遺伝子は、肥満などに伴う高グルコースや脂肪毒性によって起きるすい臓にあるβ細胞内のカルシウム上昇によって活発に働くことが分かった。その結果、血糖値を調節するすい臓のインスリン分泌を低下させることも解明した。
これらの成果から、研究グループは「Anxa10は機能的にもすい臓のβ細胞の初期の機能不全に深く関与することが示唆される」としている。そのため今後、分子レベルでの2型糖尿病発症初期の仕組み解明や、新しい予防・診断・治療法の開発などに役立つと期待している。