船井電機が、産総研開発のメタルミラー型の測距センサーを試作:船井電機/産業技術総合研究所
(2016年12月21日発表)
船井電機(株)(大阪府大東市)は12月21日、(国)産業技術総合研究所が開発したメタルミラー型の光走査素子技術を基にして、大面積走査用の測距センサーを試作、開発したと発表した。6年近く埋もれていた技術だが、優れた耐久性と大面積の検知が確認できたことから、大面積ディスプレイや電子看板用のタッチパネル、人感センサーなどへの産業応用が見込めると手応えを感じている。
光走査素子とは、レーザーやLEDなどの光源を左右に振ってその反射波などを捕らえる電子素子をいう。レーザープリンターやプロジェクターなどの製品の心臓部として幅広く使われている。
これまでは微細加工の電子回路を使いシリコン上に反射ミラーを設置して走査するタイプや、モーターで多面鏡を回転させるタイプが使われていた。しかし性能やコストなどの点で課題が残されていた。
産総研はこうした問題を解決するために、金属の平板を伝わる波と、反射ミラーを支える梁(ヒンジ)のねじれを使って光を走査できる独自のメタルミラー方式の駆動装置を開発していた。
これは高速で広い角度の走査ができ、しかも安くできるのが特徴。しかし実用化が進まず埋もれていたのを、産総研から技術移転を受けた船井電機が開発し、新たな測距センサーにつなげた。
試作品は赤外線レーザーを使って、約4㎡の面積を90度の範囲で検知するセンサーの機能を確認した。今後、市場や業界の声を聞き、幅広い光走査素子やそれを応用した電子素子の開発を検討している。