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新潟県で4億2,000万年前の放散虫の化石発見:糸魚川市/新潟大学/産業技術総合研究所

(2016年12月26日発表)

 糸魚川市フォッサマグナミュージアムと新潟大学、(国)産業技術総合研究所は、ヒスイの原産地として知られる糸魚川市小滝地区で採取した岩石から、約4億2,000万年前の古生代シルル紀の放散虫の化石を発見したと12月26日に発表した。

 研究グループは、糸魚川の地質調査を2010年から同市市振(いちぶり)地域の採石場で開始し、2014年から小滝地区の野外調査や化石の採集をしてきた。

 注目したのは直径2mm以上の破片が堆積してできた岩石の礫岩(れきがん)で、これらは長い間に氷河などの作用によって巨岩からはがれ移動してきた。礫岩の内部に含まれていた珪質岩礫から、大きさ1mm以下の放散虫の化石を抽出した。

 放散虫は動物のプランクトンで、大きさは0.1~0.3mmの微小な原生動物。5億年以上前の古生代カンブリア紀に現れ、現在の海にも生息している。

 アメリカテキサス州や岐阜県高山市の地層から発見された放散虫の化石群集と同じ種を含んでいることから古生代シルル紀のものと判断した。

 これまでの新潟県内で発見された最古の化石は、シルル紀より一世代新しいデボン紀のものだった。全国的にもみてもシルル紀の化石が発見される地域は限られており、貴重な報告となった。

 この発見によって礫岩が堆積した時代は、その地層が陸上に露出していたことを示しており、糸魚川の数億年前の地質や地形を推定するための重要な手がかりとなりそうだ。