グラフェンなどの二次元材料用の転写テープを開発―手間がかからず容易に高効率に転写可能:九州大学/日東電工/合同会社二次元材料研究所/産業技術総合研究所ほか
(2023年2月13日発表)
九州大学、日東電工(株)、合同会社二次元材料研究所、(国)産業技術総合研究所などの共同研究グループは2月13日、グラフェンをはじめとする原子の厚みしかない究極に薄い二次元の原子シートを、シリコン基板やフレキシブル基板などに容易に転写できる二次元材料テープを開発したと発表した。
次世代のデバイス材料として期待されているグラフェンなどの二次元材料は、多くの場合、成長基板からシリコン基板、あるいはフレキシブル基板上に移す「転写」というプロセスが使われる。
この転写の際に、二次元材料が破れたり、保護膜の高分子が残って特性低下に繋がったりすることなどが知られている。また、保護膜の除去には有機溶剤が必要なためフレキシブル基板には使えず、転写に時間がかかったり、高度な転写技術を要したりするなどの課題を抱えている。
研究グループは今回、二次元材料に特化した紫外線(UV)で粘着力が低下する機能性UVテープを開発、これらの問題を解決した。
新技術ではまず、粘着力が強い状態でUVテープをグラフェンに密着させ、グラフェンをしっかりテープ側にキャッチする。次いでUV光を照射し、粘着力が弱まった状態でグラフェンを転写基板に移し、UVテープをリリースして転写を完了する。
高分子保護膜や有機溶剤を使う必要がなく、エンドユーザーが手軽に転写できるのが特長。また、高分子を使う従来の転写よりも欠陥や残渣が少なく、転写に要する時間も短い。
さらに、このテープ転写はグラフェンに限らず、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)と呼ばれる半導体の二次元材料や、絶縁体である六方晶窒化ホウ素(hBN)の二次元材料などにも使える。
大面積転写もできることから、二次元材料の研究や生産プロセスを加速し、新産業創出に貢献できるとしている。