うまみ成分のグルタミン酸に植物保護細菌の機能を高める効果―病害を抑えキュウリの成長を2倍に増加 化学農薬の低減につながる:農業・食品産業技術総合研究機構
(2024年2月14日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 作物生長機構研究領域の竹内 香純 上級研究員らの研究グループは2月14日、うまみ成分として知られるグルタミン酸に、土壌の病害を防ぐ植物保護細菌の機能を高める効果があることを発見したと発表した。キュウリの若芽育成で効果を確かめた。病害菌の働きを安定的に抑え、化学農薬使用の低減につながると期待されている。
土壌中に生息している微生物には植物にとって有用なものや病気を引き起こすものがある。病害を引き起こすのは主にカビで、その対策にこれまで化学農薬が使われてきた。しかし化学農薬を使い続けると薬剤耐性ができて厄介なことになる。
植物に有用な微生物(植物保護細菌)を農業に使う試みはあったものの土地の環境に左右されやすく、化学農薬と比べ効果が低く、コストが高いなどの問題があった。
研究グループは、生産量の高い作物を対象に病気を抑える物質を探索し、これまでにアミノ酸に効果があることを明らかにしてきた。
今回はこの成果の延長として、各種のアミノ酸を植物保護細菌に添加してキュウリの幼苗を育てたところ、重要な土壌病害菌の一つピシウム病菌に対して、グルタミン酸添加ケースだけに高い効果があった。
植物保護細菌単独の場合と比べてキュウリ幼苗の重量が2倍にまで増加した。グルタミン酸単独ではピシウム病菌を抑える効果がなかった。
この成果は他の病害にも応用できると見ている。病害とグルタミン酸の添加時期を見極めながら使うことで持続可能な農業に貢献できるとしている。