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睡眠時無呼吸症候群―自宅で早期発見へ新技術:S’UIMIN/筑波大学ほか

(2024年3月21日発表)

 (株)S’UIMINと筑波大学などの研究グループは3月21日、放置すると心不全や脳梗塞などにもつながりかねない睡眠時無呼吸症候群を自宅で早期発見する技術の実用化に目途をつけたと発表した。睡眠時の脳波を自宅で簡易測定できる装置が入院検査で使われる標準的な装置と同等の精度を持つことを確認、遠隔医療による在宅診断に道をひらいた。患者の負担を大幅に軽減できると期待している。

 研究グループには筑波大学発スタートアップ企業のS’UIMINと筑波大学のほか、社会医療法人春回会 井上病院も参加した。S’UIMINはこれまでに自宅で簡単に睡眠時脳波を計測できる装置「インソムノグラフ」を開発しているが、どこまで睡眠時無呼吸症候群の診断に使えるかは未確認だった。

 そこで今回、睡眠時無呼吸症候群の疑いのある20歳以上の77人を対象に同装置と従来の標準的な検査法である終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を同時に装着、一晩の睡眠測定を実施した。その結果、無呼吸症候群の診断材料になる総睡眠時間や各睡眠ステージの割合、無呼吸低呼吸指数など11種類の睡眠指標が95%以上一致した。

 これらの結果から、新装置のインソムノグラフを用いる在宅睡眠時脳波測定は、睡眠時無呼吸症候群患者に対しても既存の標準検査法である終夜睡眠ポリグラフと同等レベルの睡眠評価が可能という。

 研究グループは「脈拍や血中酸素濃度などの測定機器との適切な組み合わせによって、在宅での遠隔医療でも患者の負担を大幅に軽減しながら診断や経過観察できる期待が高まった」と話している。