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一度きりの激しい運動―体重増やす可能性も:筑波大学ほか

(2024年5月24日発表)

 一度きりの激しい運動は体重を増やしてしまう。筑波大学と東京都立大学は5月24日、マウスを用いた実験でこんな結果を得たと発表した。激しい運動で身体のリズムやホルモンバランスを崩し、その後の身体活動や体内の熱産生が低下してしまうためという。今後、運動後に身体活動を低下させないようにするにはどうすれば良いか、さらに検討を進める。

 運動は心身に多くの効果をもたらすが、体重の減量効果は期待より低いことがある。それは運動後に身体活動が低下してしまうためと考えられているが、詳しい仕組みはよくわからなかった。

 そこで研究グループは、動物実験用のランニングマシン「トレッドミル」を用いてマウスを一定の速度で走らせ、運動の強さがマウスの体内温度(深部体温)にどう影響するかを、運動の二日前から運動後三日目に至るまで詳しく調べた。

 その結果、高強度の運動をさせた場合にだけ、運動後にマウスの身体活動と深部体温が低下した。また、運動後24時間に起きた体重変化は安静にしていたマウスに比べて明らかに大きくなることがわかった。この体重の変化量はマウスの体の深部体温の低下と相関していることもわかり、高強度の運動がその後の体重増加を促す可能性がみられたという。

 さらに研究グループは、身体活動と体の深部体温が1日の間に示す変動(概日リズム)パターンがよく似ていて同調していることに注目、運動後にそれがどう変化するかを詳しく検討した。通常は身体活動の変動が体温変化に先行するが、高強度の運動をした後にはその関係が逆転し体温変化の方が先行することがわかった。

 これらの結果から、高強度の運動後には身体活動と体温変化の同調性や、ストレスホルモン「コルチコステロン」の一日単位の変動リズムが乱れ、身体活動が低下した可能性があるとみている。このため「高強度の運動は身体活動の低下とそれに起因した熱産生の低下を生み、体重増加につながることが明らかになった」と、研究グループは話している。