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要介護者のリスク評価手法―より適切な対応実現へ:筑波大学

(2024年7月4日発表)

 筑波大学は7月4日、65歳以上の高齢者が要介護認定された後の介護度悪化や死亡リスクを事前に評価する手法を見出したと発表した。新たに要介護認定された高齢者が持つ22種類の疾患情報を6タイプに分類、このうち特定のタイプが要介護認定後の死亡リスクや介護度悪化と関係していることを突き止めた。介護度悪化や死亡リスクの予測が可能になるとして、より適切な介護につながると期待している。

 筑波大学の田宮 菜奈子 教授らの研究グループが対象にしたのは、2014年10月から2019年3月までに茨城県つくば市で新たに要介護認定を受け、介護保険サービスを受け始めた65歳以上の高齢者4,648人(女性が60.4%)。

 これらの高齢者が要介護の認定を受けるのに影響した22種類の疾患の有無を調べたところ、心疾患や神経疾患、呼吸器疾患・悪性腫瘍など6タイプに分類できた。さらにこれら6タイプの高齢者の介護度が、介護認定後にどのように変化したかなどについて調べた。

 その結果、心疾患タイプや呼吸器疾患・悪性腫瘍タイプ、インスリン依存性糖尿病タイプと分類された高齢者は、統計的に見ても意味のある形でその後の死亡と関連していることが分かった。一方、要介護認定後の介護度の悪化との関連について分析したところ、心疾患タイプや呼吸器疾患・悪性腫瘍タイプなどが統計的に意味のある形で関連していたことが明らかになった。

 研究グループは「対象者のより正確な予後(死亡や介護度悪化)が予測できるようになる」と話しており、介護サービスの選択や将来に対する様々な準備について関係者が意見を一致させやすくなるとみている。