ICTを使った下水施設の効率運用で、浸水面積を14%削減 :国土交通省水管理・国土保全局/国土技術政策総合研究所
(2017年2月7日発表)
国土交通省は、都市の下水道施設についてICT(情報通信技術)を活用した効率運用の実験を平成26年から進めた結果、浸水被害面積を14%減らすことができるとの確証を得た。これを元に国土技術政策総合研究所が、自治体への普及に向けて技術導入ガイドライン(案)を作ったと2月7日に発表した。
最近、突然の集中豪雨などによって都市部低地での浸水被害が急増している。温暖化やヒートアイランド現象、道路の全面舗装などが大きな原因と見られている。
これを防ぐには、河川整備や下水道整備、流域対策などのハード対策とともに、洪水情報の提供、ハザードマップの作成と公表、避難防災体制の整備、確立などのソフト対策が欠かせない。高齢化と予算不足でハード整備が思うように進まない中で、ICTによる浸水対策が注目されてきた。
各地の雨量計データやレーダー降雨情報、監視カメラによる浸水区域の早期発見などの計測データをリアルタイムで収集し、都市の下水道空間に這わせた光ファイバーで情報を集め、高速シミュレーションで浸水予測するというもの。
国交省は平成26年度から、企業と地方自治体、大学の連携組織に「下水道革新的技術実証事業」(B-DASHプロジェクト)を委託し、ICTを活用した施設運用支援システムの実証実験を、広島市江波地区の太田川流域で続けてきた。
施設の雨天時の対策運転シナリオの一つは、標高の低い江波地域の洪水を防ぐため、約4km上流の横川ポンプ場と1km東の吉島ポンプ場の取水量を現状の3分の1に抑え、江波ポンプ場は現状より早いタイミングで運転を開始するというもの。
こうしたICTによる施設の効率運転をすることで、現状運転での浸水面積が約54haから約47haに削減(削減率は約14%)でき、7.5ha縮小し、150世帯が浸水を免れ、年間の浸水被害額を1億円以上削減できると試算している。
国交省は、ICTを活用して下水道事業の効率性の向上、情報の見える化の取り組みなどを「i—Gesuido」としてガイドライン(案) にまとめた。地方公共団体が効率的な下水道対策に生かせるように支援する。