抹茶が、高齢者の軽い認知機能改善と睡眠の質向上に効果― コミュニケーション能力向上と社会参加の効果を確認:株式会社MCBI/筑波大学ほか
(2024年9月2日発表)
バイオベンチャー(株)MCBIと、筑波大学などの研究グループは9月2日、抹茶を継続的に飲むことで高齢者の軽度の認知障害や睡眠の質の向上に効果があることを確認したと発表した。医療法人社団創知会メモリークリニックとりで、(株)伊藤園などが参加した。
日本人が親しんでいる抹茶には、主成分の「テアニン」がストレス緩和と睡眠障害、作業記憶の改善などに効果があり、「カテキン」は血中コレステロールを下げる効果があるとこれまでに報告されている。
さらに中高齢者が抹茶を1日2gずつ12週間続けて飲むと、注意力や判断力の精度を高めるとの報告もある。
研究グループは、お茶の価値をより科学的に捉えるため、募集した60歳から85歳の高齢者を対象に臨床試験を実施した。
認知症まで進んでいない軽度の主観的認知機能低下(SCD)と診断された99人に、抹茶を12ヶ月間摂取してもらい、認知機能などへの影響を調べた。
テストでは、抹茶2gを入れたカプセルを毎日飲んでもらい、抹茶の入っていないカプセル(偽薬)を飲み続けたグループと比較した。抹茶2gは薄茶のお点前一杯分にあたる。
参加者には、テストの前後に「認知機能検査」「睡眠調査」「血中バイオマーカー測定」「脳イメージング」などを実施し、抹茶の効果を総合的に解析した。
99人に4種類の認知機能検査をパソコン画面で実施したところ、表示された人の顔の表情を見て「感情知覚」が改善していることが確認された。これは高齢者のコミュニケーション能力や日常生活、社会参加でも重要な改善がなされたと考えられる。
また抹茶はカフェインを含んでいるにもかかわらず「睡眠の質」には悪影響がないばかりか、むしろ改善傾向が見られた。これは認知機能の維持にもつながるため有益な活用法だとしている。