二条オオムギの新品種を開発―高冷地での生産が可能に:農業・食品産業技術総合研究機構
(2024年10月8日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構(のうけんきこう)は10月8日、中国・九州地域の高冷地でも安定した栽培が可能な早生(わせ)で多収な「二条オオムギ」の新品種を開発したと発表した。
オオムギは、世界で最も古くから栽培されてきた作物の一つ。二条オオムギは、ビール麦とも呼ばれ、明治時代に日本に入ってきた。現在は焼酎の醸造(じょうぞう)に用いられることが増え増産を求められているといわれる。
新品種は名称を「こはく二条」といい、広島県の標高約420mの高地で一般の生産者による栽培が今年から始まる予定。農研機構は、数年後には100ha(ヘクタール、1haは1万㎡)まで栽培面積を拡大したいといっている。
現在、関東以西で栽培が普及している二条オオムギは、春播性(はるまきせい)といって冬の間でも幼穂(ようすい:穂の元)の生育が進むタイプのため、中国・九州地方の高冷地では冬から春先にかけて遭遇する想定外の寒さで凍害が発生する問題を抱えている。
そこで農研機構は、その課題を解決しようと冬の間に幼穂の生育が過度に進まない秋播性(あきまきせい)の二条オオムギと、春播性で早生・多収の農研機構が開した既存の二条オオムギ「はるか二条」の交配によって新品種「こはく二条」の育成に成功した。
新品種は、冬から春先にかけての寒さによる被害を受けにくく、早生で多収なことから関東以西の平坦地だけでなく、中国・九州地域の高冷地でも安定した生産が行えるものと研究グループは期待をかけている。