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暑さに強いシイタケへ―新品種開発効率化に新技術:森林総合研究所ほか

(2024年10月24日発表)

 (国)森林総合研究所、(公財)岩手生物工学研究センターなどの研究グループは10月24日、暑さに弱いシイタケの品種改良を容易にする新技術を開発したと発表した。暑さに強いシイタケを見分けられる遺伝情報配列「DNAマーカー」を突き止め、判別にかかる時間を約75%削減した。温暖化が進む中でシイタケの生産現場では冷房等の生産コスト上昇が問題になっているが、新技術によって暑さに強い新品種開発の効率化が実現できると期待している。

 シイタケは比較的低温を好むキノコとされ、広く栽培されている品種の多くは10~22℃で育つ。このため屋外での原木栽培のほか、空調施設内でも育てられており、温暖化が進む中で冷房にかかる生産コストの上昇が大きな問題となっている。

 そこで(公財)岩手生物工学研究センター、大分県農林水産研究指導センター、(株)北研、東京科学大学も参加した研究グループは、シイタケがうまく育つ温度を決めている条件を遺伝子レベルで解明する研究に着手した。

 研究ではまず、高い温度で育つ品種と低温で育つ品種を交配させ、その交配株の胞子から成長した菌糸の遺伝情報などを詳しく分析した。その結果、シイタケのDNA配列の特定の場所「遺伝子座」が一定の温度領域でうまく育つかどうかに関与している可能性が高いことを突き止めた。このうち特に、「qTF1」と名付けた部分を利用すると、シイタケが高温品種なのか、低温品種なのかを容易に見分けられることが分かった。

 そこでこれを高温性品種を見分ける目印「DNAマーカー」として利用、45菌株の中から13菌株を選抜した。その結果、選ばれた菌株がすべて22℃という高温条件下でもうまく育つことが確認できたという。

 研究グループは「このDNAマーカーを用いることにより、高温条件下でも栽培可能な新品種の作出が促進される」として、高温による発生傷害の軽減や菌床栽培での光熱費削減につなげられると期待している。

左:小型菌床による発生温度試験の様子(撮影:大分県農林水産研究指導センター)
右: DNAマーカーによって選抜した菌株を使い、22℃で発生したシイタケ(撮影:株式会社北研)