CO2以外の温室効果ガス排出削減が温暖化を減速―1998~2012年の温暖化減速に24%寄与:海洋研究開発機構/国立環境研究所ほか
(2024年11月1日発表)
(国)海洋研究開発機構と(国)国立環境研究所の共同研究グループは11月1日、1998年から2012年に生じた地球温暖化の減速に関する各種要因の寄与を分析した結果、CO2以外の温室効果ガスの排出削減効果が検出され、温暖化減速全体に占めるその寄与は約24%だったことが明らかになったと発表した。
温暖化の減速は、世界の地表気温の上昇速度が一定期間遅くなっている現象で、1998年から2012年にかけてがその期間に当たることが知られている。
その原因についてこれまでは、赤道太平洋中部から東部の海水温が異常に低くなるラニーニャ現象や太陽活動の低下などの自然変動に起因するとされ、人為的な要因の寄与については調べられていなかった。
今回研究グループは、温暖化の減速に関する自然・人為両面の様々な要因の寄与について、簡易気候モデルと重回帰モデルという数学的手法を組み合わせて包括的に分析、評価した。
その結果、温暖化ガスのCO2やエアロゾル、火山活動などの影響が世界平均気温の上昇を加速させていたが、その一方で、ラニーニャ現象による冷却効果と太陽活動の低下がこれを減速させていた。
このうち、ラニーニャの冷却効果による温暖化の減速は50%程度、太陽活動の低下によるそれは約26%であることが示された。
強力な温室効果ガスであるメタンやオゾン層破壊物質の役割の調査では、これらのガスの排出抑制による効果が全体の減速の約24%を占めていることがわかった。
この研究成果は、地球の気温上昇に対して、CO2以外の温室効果ガスも重要な役割を果たしていることを示すもので、人類が現在取り組んでいる地球温暖化対策の有効性を裏付けているとしている。