スマホアプリ使い睡眠と栄養の関連明らかに―4,800人超す調査データを分析:筑波大学
(2025年2月3日発表)
筑波大学は2月3日、食事管理と睡眠に関するスマートフォンアプリ(スマホアプリ)のデータを活用した大規模調査によりたんぱく質の摂取量が多い人、食物繊維を多く食べている人は共に睡眠時間が長い、など睡眠と栄養の関連が分かったと発表した。
文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラムの一環として筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢 正史 教授らがおこなった研究の成果で、2つの汎用のスマホアプリを使って得た。
睡眠は、人にとって重要な生理活動で、健康や生活に深くかかわっている。睡眠と食事は相互に影響することも知られ、特定の栄養素が睡眠時間に影響していることが報告されている。
しかし、主要栄養素のバランスなどが睡眠にどう影響しているのかはまだ十分に解明されていない。
今回の研究では、広く一般に利用されている運動の時間を入力しただけで消費カロリーの自動計算ができる食事管理のアプリ「あすけん」と、スマホを枕元に置いて寝ると睡眠データが計測される睡眠ゲームアプリ「ポケモン・スリープ」の両方を利用している4,825人のデータを用い、各人の7日間以上の記録を平均化して睡眠と栄養の関連について評価した。
その結果、▽摂取する総エネルギーが高いほど総睡眠時間が短く、中途覚醒(途中で目が覚めること)が長い、▽たんぱく質の摂取量が多い人の方が少ない人より総睡眠時間が長い、▽オリーブオイルなどに多い一価不飽和脂肪酸と、魚や大豆油に多い多価不飽和脂肪酸の摂取が多い人は、睡眠時間が短い、▽一価不飽和脂肪酸の摂取が多いと睡眠潜時(睡眠開始までの時間)と中途覚醒が長くなる、▽食物繊維を多く摂取している人は、総睡眠時間が長く、睡眠潜時と中途覚醒が短くなる、▽ナトリウム摂取(食塩摂取)が多い人は、総睡眠時間が短く、睡眠潜時と中途覚醒が長くなることが分かった。
「この研究により、たんぱく質、多価不飽和脂肪酸、植物繊維が豊富な食事により、睡眠が改善する可能性が示唆された。今後は、実際の食事などによる効果検証をおこなって、より詳細な因果関係などを究明する予定」と柳沢教授は総括している。