佐渡島のヘビたちはエサ、活動場所、時間を違えてうまく共存している―世界的に減少するヘビ類など生物多様性の回復策にヒント:筑波大学ほか
(2025年2月13日発表)
筑波大学生命環境系の澤田 聖人(さわだ きよと)助教と新潟大学佐渡自然共生科学センターの研究グループは2月13日、新潟県・佐渡島で多種類のヘビが共存するために、活動場所や時間帯、餌の種類を変えて上手にすみ分ける共存メカニズムの存在を確認したと発表した。
佐渡島は、南西諸島を除く日本の島の中で最もヘビの種類が多い。シマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシ、ニホンマムシ、ジムグリ、ヒバカリ、シロマダラの7種がいる。
これらがいつ、どこで活動し、何を食べているかを2023年までの5年間にわたって継続的に調べた。
山地から低地、森林、水田までを幅広く調査し、発見の日時、場所を記録するとともに、捕獲したヘビの胴や腹を指で圧迫し胃の内容物を吐き出させる強制嘔吐法でエサを確認し、その後に放した。
食べ物はネズミなどのげっ歯類、ミミズ類、カエル類の3グループに分類し、活動時間帯は昼行、夜行、周日行の3グループに分けるなどして相互関連を調べた。
その結果、同じエサを食べていても生息の場所や時間帯をずらす「すみ分け」や「食い分け」によって、うまく共存できるようにする「多次元ニッチ分割」が存在していることを実証的に明らかにした。
ヘビは世界的に衰退傾向にあるとされる。今後、ヘビ類のニッチ分割が生態系のバランス維持にどのように貢献しているかの解明を進める。
今回の研究は、ヘビ類に限らず生物多様性の回復を目指すための国際的なビジョン「ネイチャーポジティブ(自然再興)」に貢献するものとみている。