運動で「非アルコール性脂肪肝」が改善できること確認―脂肪蓄積の減少を臨床試験によって実証:筑波大学
(2017年2月27日発表)
(国)筑波大学は2月27日、運動療法に「非アルコール性脂肪肝」を改善する効果があることを臨床試験で確認したと発表した。
肝臓は、「沈黙の臓器」といわれ、高い再生能力を持つが、そのリミットを越えて肝臓に脂肪が過剰に溜まった状態になるのが脂肪肝で、アルコールを飲まない人が肥満や糖尿病などによって陥る脂肪肝が非アルコール性脂肪肝。治療には、食生活の改善と共に運動が効果があるとされている。
しかし、運動の効果に関するエビデンス(科学的根拠)は、全般的に少ないのが現状で、今回の成果はその突破口の一つになるものと期待される。
我が国では、食習慣の欧米化や運動不足などによる肥満人口が増加の一途にあり、内蔵型肥満に関連した非アルコール性脂肪肝が増えている。
今回の研究は、非アルコール性脂肪肝になっている平均年齢が49.3歳の肥満の男性61人を3つの運動プログラム①レジスタンストレーニング(RT)、②高強度インターバルトレーニング(HIAT)、③中強度持続性トレーニング(MICT)の群に分け各運動をそれぞれ1週間に3回ずつ12週間にわたって実施し、運動の種類とそれらの強度の違いが脂肪肝の病態に及ぼす影響についてランダム化比較試験と呼ばれる治療効果を客観的に評価する研究試験方法によって解析するという手法で行った。
その結果、3群の全てで肝脂肪蓄積の減少が見られ、①のRT群で-14.3%、②のHIAT群で-13.7%、③のMICT群で-14.3%という効果が得られた。
研究グループは、「脂肪肝の肝脂肪蓄積は運動トレーニングの種類とそれらの強度に依存せずに改善した」と結論している。
同大学附属病院の「つくばスポーツ医学・健康科学センター」では、今回の成果を脂肪肝患者への医療支援ツールとして活用していくことを考えている。