つくばで、熱帯性の地衣類アミモジゴケを発見:国立科学博物館
(2017年3月29日発表)
(独)国立科学博物館の筑波実験植物園は3月29日、茨城県つくば市の同園内で熱帯性の地衣類アミモジゴケが発見されたと発表した。地球温暖化やヒートアイランドによる気温上昇と都市部の大気環境がきれいになったためと見ている。
アミモジゴケは熱帯から暖温帯に分布し、樹皮などに生える。見た目はコケ植物のようだが、菌類に分類される生き物。日本では伊豆半島より南の温暖な地域で見られる。2015年に筑波実験植物園内のキハダの樹皮で発見したが、温暖な地域から持ち込まれた可能性もあるとして慎重に調べてきた。
このキハダは30年以上も前に同園に植栽され、アミモジゴケのコロニーも1〜3cmと小さいことから自然に定着したとみている。つくば市は地衣類の新たな北限の自生地になった。
つくば市の年間平均気温は、過去30年の間に約12℃度から約15℃にまで上昇し、熱帯性種の自生可能な環境になったと見ている。
植物は土壌からの影響を受けるため、平均気温の上昇があっても分布が直ちに変わることはないが、地衣類などは大気の影響を直接受けやすいため、温暖化やヒートアイランド、大気汚染の改善に敏感に反応したものと考えられる。