品質低下させる「雑草イネ」の発生を、全国の水田で確認:農業・食品産業技術総合研究機構
(2017年4月26日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構は4月26日、米の品質低下と減収をもたらす「雑草イネ」が、全国の移植栽培の水田でも多数発生していると発表した。雑草イネはこれまで、水田に直接タネをまく直播栽培にだけ発生するとみられていただけに、広く警戒を呼びかけている。
雑草イネは、水田に自生して雑草となるイネ科の一種で、籾(もみ)が抜け落ちたり、赤米が混じったりして米の品質低下をもたらす。収穫直前には、草丈が高くこげ茶色の穂をつけた雑草イネが水田全体に広がることがある。
有効な除草剤がなく、蔓延すると防除が難しくなるため早期に見つけ、手取りによる除草が欠かせない。
これまでは限られた地域でのみ発生しているとみられてきた。ところが農研機構中央農業研究センターが、雑草イネの発生した東北から近畿までの8県、27地区で聞き取り調査をしたところ、タネではなく苗を水田に植える移植栽培だけの水田でも23地区で発生していた。
農業機械に付着して周辺に広がったとみられる。雑草防除に十分な時間をかけるのが難しくなった農家環境も拡大の原因と考えられる。放置すると種子が落ちて翌年以降に数百倍に広がってしまい、手がつけられなく心配があるという。