共役ポリマーから成るマイクロ球体からレーザーを発振―電荷注入によるレーザー発振に道:筑波大学
(2017年5月19日発表)
筑波大学は5月19日、(国)産業技術総合研究所、国立精華大学(台湾)、ライプニッツ光技術研究所(ドイツ)と共同で、共役ポリマーから成るマイクロ球体からレーザー発振に成功したと発表した。高分子材料への電荷注入によるレーザー発振が期待される成果という。
共役ポリマーは導電、発光、光吸収、クロミズムなど各種の特性を持つ高分子。研究グループはこれまでに、この共役ポリマーでマイクロメートルサイズの球状構造体であるマイクロ球体をつくると、マイクロ球体中に光が閉じ込められ、特定の波長の光が共鳴してWGMと呼ばれる特殊な発光が得られることを明らかにしてきた。しかし、使用していたポリマーは光耐久性が低く、レーザー発振に必要な大きな励起光強度は得られなかった。
そこで研究グループは今回、さまざまな共役ポリマーのマイクロ球体を作り、光耐久性や発光特性が高いポリフルオレン(F8)から成るマイクロ球体を得た。この球体1粒子にフェムト秒パルスレーザーを照射したところ、青色レーザー光の発振が認められた。
他の材料の共役ポリマー球体にも同様に照射したところ、フェムト秒パルスレーザー励起による緑色と赤色レーザー発振を認めた。
さらに、光耐久性の向上やレーザー発振の低閾値化を検討した結果、その可能性が確認されたという。
今回、電荷注入可能な共役ポリマー球体から、高い光耐久性での光誘起レーザー発振に成功したことから、研究グループは今後電極からの電荷注入による有機電界発光レーザーの実現が期待されるとしている。