温暖化もたらすメタン濃度過去最高に―衛星データ使い推定:環境省/国立環境研究所/宇宙航空研究開発機構
(2017年6月2日発表)
環境省と(国)国立環境研究所、(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月2日、地球温暖化に与える影響が二酸化炭素(CO2)に次いで大きい温室効果ガス「メタン」の濃度が地球大気全体の平均値で今年1月に過去最高の約1,815ppb(ppbは10億分の1)を記録したと発表した。2009年に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測によって初めて明らかになった。
メタンはウシのゲップや農地、湿地、化石燃料などを主な発生源とする温室効果ガスで、同じ量で比較したときの地球温暖化効果は二酸化炭素の25倍にも上る。ただ、温暖化への影響を正確に評価するための地球大気全体の平均濃度を得ることは、高度によって濃度差があるため地表での観測だけでは困難だった。
そこで研究チームは、地表面から大気上端までのメタンの総量を測定できる「いぶき」の約8年間にわたる観測データを用いて地球全体の大気中の平均メタン濃度を算出した。ただ、衛星で観測できる地域は太陽高度が高く雲のない地域に限られるため、特別のモデル的手法を用いて推定した。
その結果、北半球の5~7月にかけて濃度が低くなり、11~2月にかけて高くなる季節変動を繰り返しながら年々メタン濃度が上昇していることがわかった。特に、今年1月には月別濃度で過去最高の約1,815ppbを記録。また、長期的な変動の傾向を見るために季節変動を取り除いた大気中メタンの推定経年平均濃度は、同じく今年2月に過去最高の約1,809ppbを記録したことがわかった。
今回推定した大気全体の月別メタン平均濃度は、環境研のホームページで公開する。