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ドローンで地中の自動車探査―土砂災害時の救出迅速化へ:産業技術総合研究所ほか

(2017年6月5日発表)

 (国)産業技術総合研究所は65日、土砂災害などで地中に埋まった自動車をドローンで空中から探し出す技術を(株)エンルートなど3社と共同で開発したと発表した。電磁波で地中構造物を探るセンサーをつり下げ、地上1mの高度から地下1.5mにある軽自動車を探し出す実験に成功した。ヒトの立ち入りが困難な災害現場での救出活動の迅速化に役立つと期待している。

 共同研究チームには、(株)日立製作所と八千代エンジニヤリング(株)の2社も加わった。

 開発したのは、最大6.6kgの重量を積載できるドローンに、長さ1.6mの細長い板状の地下電磁探査センサー部をつり下げたシステム。飛行中の位置情報を収集するGPS信号受信器や対地高度を常時監視する超音波センサー、収集したデータを地上に送る無線通信装置などもセンサー部に搭載した。

 ワイヤーでつり下げたセンサー部は風などの影響によって水平方向に回転したり、突風や地表の凹凸の影響で対地高度が変動したりして、正確なデータがとれなくなるという問題があった。新技術では、細長い板状のセンサー部に垂直尾翼を付けて常にドローンの進行方向に向くようにするなど工夫してこれらの問題を解決した。ドローン本体から出る電磁波雑音の影響もドローンとセンサー部の距離を4m離すことで小さくできた。

 静岡県内に設けた実験サイトを使い、地下1.5m3mに軽自動車2台を埋めて実証実験を試みた。センサー部を地上約1mの高さにつり下げたドローンを、毎秒約2mの速度で飛ばして計測した。比較的粗い間隔で飛ばした一回目の探査時には地下1.5mの自動車でも明確には検出できなかった。ただ、これで目星をつけた地域の周辺を細かな飛行間隔で探査したところ、明確な信号を得ることができ地下1.5mの自動車は検出できた。

 研究チームは、今後はより実際の状況に近い起伏の大きな地形の実験サイトで実証試験を行ってシステムを改良、災害時に役立つよう実用化を促進したいと話している。