新しい骨格構造の触媒、ゼオライト合成に成功:横浜国立大学/産業技術総合研究所ほか
(2017年6月7日発表)
横浜国立大学と(国)産業技術総合研究所は6月7日、優れた工業用触媒として有望な新しい骨格構造を持つゼオライト(YNU-5)の合成に成功したと発表した。簡単に合成でき、熱に対する安定性が高いため、今後さまざまな資源やエネルギー開発に応用されると期待されている。
ゼオライトは、ケイ素、酸素、アルミニウムを主成分とした1nm(ナノメートル,1nmは10億分の1m)以下の穴が規則的に並んだ結晶で、この穴の形状が触媒効果に大きく影響する。
新しいゼオライトは、ケイ素、アルミニウムに、水の量を大胆に減らして反応させて作られた酸化物。直径0.78nmの「大細孔」と、その脇に同0.44nmの「小細孔」が双子のように並んだ立体構造を持つ。
これまで石油から生成されていたポリ袋(ポリエチレン)の原料のエチレンや、プラスチック(ポリプロピレン)の原料となるプロピレン、合成ゴムの原料のブテンを、石炭や天然ガスからも効率よく生成できることが分かった。
既存のゼオライト触媒と比べると、プロピレンやブテンの収率は1.2倍以上で、プロピレンとエチレンの比率は10倍以上に向上した。さらに触媒の寿命も5倍以上になった。結晶の中にできた「小細孔」と「大細孔」の組み合わせが、反応の際にうまく機能しているためとみている。
YNU−5触媒は合成が簡単な上、触媒機能を調整しやすいことから、今後革新的な触媒として高機能の使い道が見出せるとみている。