アルパイン断層における温度不均質とその原因を解明―地震動予測への応用に期待:大阪大学/産業技術総合研究所ほか
(2017年6月16日発表)
ニュージーランド南島西海岸に横たわるアルパイン断層の深部掘削プロジェクトに参加していた大阪大学、(国)産業技術総合研究所、京都大学、信州大学、山口大学などの研究者らは6月16日、断層面上に大きな温度不均質を発見し、その原因を解明したと発表した。地震動予測への応用が期待されるという。
アルパイン断層はオーストラリアプレートと太平洋プレートの境界断層で、平均約300年の間隔で大地震を発生させており、活動度が高い。また、隆起速度が速く、深部における地震発生過程の理解に都合がよいことなどから、国際プロジェクトとして深部掘削が行われている。
研究チームは2014年に実施された深度893mまで掘るプロジェクトに参加し、このほどその成果をまとめた。
調査したのは、断層の強度を支配する重要なパラメーターである温度分布と流体圧。温度については、光ファイバー温度計を掘削孔に設置し、掘削孔に沿った温度の空間分布を測定した。流体圧については岩盤の透水性などの性質を調べる水理試験を実施、岩盤の地下水位の推定から流体圧を得た。
その結果、一般的な大陸地殻の値の4倍の、非常に高い地温勾配を発見、断層面上には大きな温度不均質があり、その原因が断層運動に伴う隆起と、隆起による地下水循環であることを明らかにした。
断層面上の温度不均質の把握は、断層強度の不均質、地震時のすべりの不均質の把握につながり、強度分布の推定に基づく地震動予測への応用が期待されるという。