「構想設計の手法と道具」プロトタイプを開発し公開―試用する企業を募って効果を検証へ:産業技術総合研究所
(2017年6月22日発表)
(国)産業技術総合研究所は6月22日、「構想設計の手法と道具」プロトタイプと呼ぶWindows動作のソフトウェアを開発、公開すると発表した。これからの日本のモノづくりのために開発したもので、顧客の視点を取り入れた開発方針を開発の期間を通して関係者間で一貫して共有することができる。産総研は、これを試用する企業を募って効果を検証し、その結果をふまえプロトタイプのさらなる改良を行う計画にしている。
構想設計とは、設計の基礎となる意匠、構造、性能、費用といった仕様を決めるプロセスのこと。
製品やサービスの開発では、開発前半(上流)の企画・デザイン・設計といった「考える専門家」と、開発後半(下流)の調達・製造・販売などの「作る専門家」、それとユーザーなどの「使う専門家」の3者の協業が重要となる。
だが、これまでの日本のモノづくりでは、開発下流を重要視する傾向が強く、「考える専門家」から「作る専門家」への開発方針の伝達が十分でなく、「使う専門家」からのアイデアの取り込みも十分でないことが多かった。
さらに、開発上流の「考える専門家」間では、デザイン系と工学系の専門家が分断されて意思統一できないといった問題もあった。
そのため、これまでの構想設計では、デザイナーが技術的な難易度を理解せず実現性の低いデザインを提示し、工学系開発者が性能重視の設計を行ってしまう、などといった傾向が見られた。
それに対し「構想設計の手法と道具」プロトタイプは、構想設計の質と効率の向上を狙い「使う専門家」「考える専門家」「作る専門家」が対話して共創できるようにした。
産総研は、①「使う専門家」のアイデアを有効活用、②「作る専門家」の知見を開発上流が前倒しで検討、③顧客視点を関係者間で共有してデザイン系専門家と工学系専門家の検討の分断を解消、することが期待できるといっている。