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大学生のアルコール過剰摂取に警鐘―怪我をする率25倍強に:筑波大学

(2017年6月30日発表)

 筑波大学は630日、大学生のアルコール過剰摂取は急性中毒に至らなくても、外傷(怪我)を負う危険が高いことが調査で判明した、と発表した。

 この調査は、同大学医学医療系の吉本尚(よしもと ひさし)講師らの研究グループが3つの大学の学生を対象に実施した。その結果、短い時間に「ビンジ飲酒」と呼ばれる多量飲酒を年1回以上経験した学生の1年間に受けたアルコール関連の外傷(怪我)がそうでない学生の25.6倍にも達していることが分かった。

 アルコールの過剰摂取は、世界的な問題になっている。大学生を含めた10~20歳代の若者のアルコール過剰摂取が原因の死亡者数は、世界で年間32万人にも上る。

 こうしたことから、世界保健機構(WHO)は、2010年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」として各国に人口1人当たりのアルコール消費量の削減など4つの対応策を示している。それに応えようと日本でも2013年に「アルコール健康障害対策基本法」が作られ、2016年には「アルコール健康障害対策推進基本計画」が策定されている。

 しかし、アルコールの過剰摂取によって大学生の健康がどれだけ損なわれているかについての調査は、これまでほとんど行われていない。

 ビンジ飲酒は、男性2時間で50g以上、女性2時間で40g以上のアルコール(日本酒なら男性3合以上、女性2号以上相当)を短時間に飲むことを指す。吉本講師らの研究グループは、三重県内の3つの大学の大学生、大学院生のビンジ飲酒などについて2,177人を分析対象にして調査した。

 その結果、アルコール関連の外傷を過去1年間に経験したのは4.9%107人で、その内の97.2%104人がビンジ飲酒を過去1年間に1回以上経験し、年1回以上ビンジ飲酒を行った学生はそうでない学生と比べて過去1年間のアルコール関連外傷の経験が25.6倍に上っていることが判明した。