DNA情報の違いを利用し、カンキツの果実の質を予測:農業・食品産業技術総合研究機構/東京大学/国立遺伝学研究所
(2017年7月5日発表)
(国)農業・食品産業技術総合研究機構と東京大学、国立遺伝学研究所は7月5日、果樹の品種改良に大量のDNAマーカー情報から、果実の重さ、硬さ、果皮や果肉の色などの特徴を予測することに成功したと発表した。これまでにないような特別の香りを楽しめるカンキツの品種改良ができるものと期待されている。
カンキツの品種改良は極めて難しい。目的の特長を持った果樹が見つかる確率は、経験的に約5,000個に1個といわれる。偶然の良品種を得るためには、樹木が大きいために畑に数多く植え付けるには限界があり、また実りまでには数年以上の年月がかかっていた。
そこで家畜育種の分野で一足早く実用化が進んでいる新たな選抜方法であるゲノミックセレクションを、カンキツに適用することになった。
この選択法は、様々な品種や系統による果実の特徴の違いと、大量のDNAマーカー情報との関係を数式で表した精巧な予測モデルを作り、DNA配列を読み込んで目的とするカンキツの特徴を予測するもの。芽生えの早い段階でDNA情報を得て、優れた有望な苗を選び、正確に、迅速に、効率的に育てることができる。
研究グループは、カンキツ111品種・系統と、交配によって育てた合計787個体について、果実の重さや果皮の色、皮のむきやすさ、糖度、酸味量など17の特徴と、1,841個のDNAマーカーの情報を用いて予測モデルを作った。この予測モデルによって果実の特徴を精度よく予測できたことを確認した。
消費者の好みに合わせた新品種を効率的に作り、新たな需要を呼び起こすことができるものと期待している。