洪水に悩むスリランカに洪水予測の情報を提供―リアルタイムで提供し16日先までを予測:東京大学/土木研究所
(2017年7月6日発表)
東京大学と(国)土木研究所は7月6日、洪水に悩むスリランカに対し洪水予測の情報提供をリアルタイムで行うことになったと発表した。
スリランカは、今年の5月豪雨に見舞われ、多いところでは一日の雨量が550mm超に達し、南西部で大規模な洪水と土砂災害が発生、国全体で300人を超す死者・行方不明者が出た。
このため日本政府は、スリランカ政府からの要請に基づき国際緊急援助隊を派遣、土木研からも研究員が隊員として参加した。
今回の協力は、日本の高度な科学技術を活かした防災情報を同国の洪水対策に活用してもらおうと実施するもので、東大の「地球観測データ統融合連携研究機構(EDITORIA)」と、土木研の洪水観測、予測研究を行っている「水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)」とが連携してあたる。
スリランカは、洪水期が依然続いており、今後も洪水被害の発生が懸念されていることから、今回の協力ではEDITORIAが開発してきた「DIAS」と呼ぶデータ統合・解析システムにICHARMの洪水に関する各種の情報を載せ「アンサンブル予報」という手法を用いてスリランカの洪水予測を行ってその結果をリアルタイムで提供する。
アンサンブル予報は、現在の状態から未来の状態を数値計算によって予測する手法のこと。土木研のICHARMでは、計算機器の容量拡大などを行って最大16日先までの降雨予測を実施してスリランカに提供する予定といっている。
また、降雨情報をDIAS上で可視化して洪水が発生する前に影響が予測される範囲などを表し危機管理に役立ててもらうといったことも行う。