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未踏のガンマ線渦の発生で新手法を発見―引き続き共同で実証実験実施へ:産業技術総合研究所/分子科学研究所/量子科学技術研究開発機構

(2017年7月10日発表)

 (国)産業技術総合研究所と分子科学研究所、(国)量子科学技術研究開発機構は710日、共同で螺旋(らせん)を巻いて進むガンマ線の光渦(ひかりうず)を発生させる手法を見つけたと発表した。ガンマ線渦の生成と利用は、未踏の領域であることから3機関は国内トップランナーとして引き続き共同で次のステップであるガンマ線渦発生の実証実験を行う計画という。

 近年、レーザー技術の発展で光渦と呼ばれる螺旋状にねじれた渦状の形状を持つ特異な光を発生させることができるようになり、光渦を金属やポリマーなどに照射して微細加工する研究などが進められている。

 中でも波長の最も短い光であるガンマ線の光渦、ガンマ線渦は、同位体分析や非破壊検査などへの利用が考えられ、新しい産業技術に発展するものと期待されている。

 しかし、ガンマ線渦は、これまでにも発生の理論的方法が提案されているがいまだ生成されていない。

 今回の手法開発は、3機関の持つ技術や知見を結集して実現した。

 産総研と分子研は、共同で高エネルギーの電子ビームから光を発生させる研究などに取り組んできた。一方、量子研は、高強度レーザーの研究開発や原子核とガンマ線の相互作用の研究を行ってきた。

 そうした研究で得られた成果をベースにして強い電磁場中の電子と光の相互作用について詳細な理論計算を行った結果、円偏光した高強度レーザー光と高エネルギーの電子ビームの衝突(レーザーコンプトン散乱)によってガンマ線渦が生成されることを発見した。

 光の振動の軌跡が円を描く場合を円偏光という。円偏光のレーザー光は、一般的なレーザー装置を使って高強度に発生でき、「円偏光高強度レーザーを用いたレーザーコンプトン散乱がガンマ線渦を生成するための実用的かつ有望な手法となることが分かった」と産総研はいっている。

 3機関は、量子研が所有する高強度レーザーを使って早ければ来年度からこの新手法によるガンマ線渦発生の実証実験を共同で開始する。